代謝マップ
製品コード: ZZ09
製品名: MitoPB Yellow
化学名:Phosphonium, [4-​[4-​[9-​(diphenylamino)​-​7,​12-​dihydro-​12-​oxido-​7-​[4-​(2-​oxiranylmethoxy)​phenyl]​-​
              12-​phenylbenz[g]​indeno[1,​2-​b]​phosphindol-​7-​yl]​phenoxy]​butyl]​triphenyl-​, bromide
(1:1)
分子式・分子量:C74H60BrNO4P2=1169.12

容量: 10 nmol

MitoPB Yellow

 超耐光性の蛍光特性
 クリステの動態を生細胞で検出できる
 超解像レーザー顕微鏡 (STED)に対応
CAS番号: 2388996-43-6
特徴
性質
 細胞内には様々な細胞小器官が存在し、その中でもミトコンドリアはエネルギー生産だけでなくヘム、アミノ酸、 リン脂質の生合成やアポトーシスなど極めて重要な役割を担っています。ミトコンドリアは、形質の異なる外膜と内膜の二重膜構造により形成されており、特に内膜は、効率的に酸化的リン酸化を行うために表面積を最大にするクリステ構造を形成しています。そのようなミトコンドリア内膜の形態学的変化は透過電子顕微鏡法 (TEM) により明らかにされてきました。しかし、TEMを用いた観察では、試料の固定、脱水、埋包処理などが必要であり、生細胞のミトコンドリアの観察はできません。TEMに変わるミトコンドリアの形態観察法として誘導放出抑制顕微鏡法 (STED) があります。STEDは、前処理無しに細胞を高解像度で観察することができますが、既存の低分子ミトコンドリア染色蛍光色素はSTEDの強いレーザー照射に対して光安定性が悪いといった課題があります。MitoPB Yellow は、超耐光性骨格から構成されているため連続した STED 撮影が可能で、さらに分子内電電荷移動 (ICT) 特性により脂溶性環境下で強い蛍光を発するため、細胞内のミトコンドリアの膜形態を高コントラストな STED 画像として取得することができます。また、MitoPB Yellow は生細胞だけでなく染色後の細胞を固定化し観察することも可能です。
開発元: 名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所 山口 茂弘 教授 多喜 正泰 准教授
マニュアル
技術情報
MitoPB Yellow、Rhodamine 123、MitoTracker Greenにてそれぞれに染色したHeLa細胞を経時的に観察した結果、MitoPB Yellowは既存色素に比べ耐光性に優れることがわかりました。
既存品に比べ光退色が少ない
正確な局在性
MitoPB YellowとTom20の共染色を行い、MitoPB Yellowの局在を確認した結果、MitoPB Yellowはミトコンドリアの内膜を染色することが確認されました。
緑: MitoPB Yellow
紫: Tom20
クリステの動態を可視化できる
既存色素では困難なクリステの動態を鮮明に可視化することができました。
実験例:ミトコンドリア飢餓状態の観察
MitoPB Yellowで染色した細胞をHESS内に長時間静置することで、ミトコンドリア飢餓状態を誘導しました。
結果、ミトコンドリア飢餓によるクリステ構造の変化を鮮明に観察することができました。
実験例:ミトコンドリア機能障害の観察
ミトコンドリアDNA複製阻害であるジデオキシシチジン(ddC)を用いてミトコンドリア機能障害を誘導しました。
MitoPB Yellowは鮮明にミトコンドリア機能障害をクリステ構造の崩壊にて表現することができました。
参考文献
C. Wang, M. Taki, Y. Sato, Y. Tamura, H. Yaginuma, Y. Okada, S. Yamaguchi, Proc. Natl. Acad Sci. U.S.A.2019116(32), 15817-15822.
取扱条件
規格
性状:橙赤色固体

取扱条件
1. 保存条件:冷凍、遮光
上記MitoPB Yellowを使用されたい方は、下記試作品申し込みファームからお申し込みください。